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島根県立美術館は、松江市の宍道湖畔に1999年3月に開館した美術館です。前身の県立博物館から受け継いだ美術作品を基礎に、絵画、版画、写真、工芸、彫刻などを収集・公開しています。水辺の風景と美術を一緒に楽しめるのが特徴で、作品鑑賞の前後に湖を眺めながら過ごせます。2022年には大規模改修を経て再開館し、地域の美術を伝える展示や、子どもたちが芸術に触れるための活動を続けています。 菊竹清訓の設計による建物は、湖の波打ち際に盛り上がる洲浜をイメージしたデザインです。大きな屋根とガラス張りのロビーが、宍道湖の眺めとつながります。湖側の景観を眺めるだけでなく、入口からロビーへ進むときに外の光がどのように見えるか、建物が水辺にどう収まっているかにも目を向けると、建築そのものを鑑賞する楽しみが生まれます。 館を特徴づける展示のひとつが、葛飾北斎の作品を紹介する北斎展示室です。館は北斎作品を約1,600点所蔵し、その中から約40点を展示しています。まとまった数の北斎作品に出会える一方で、展示内容は会期ごとに入れ替わります。有名な作品名だけで訪問を決める場合は、当期の出品内容まで確かめると確実です。作品の保存と公開を両立させながら、何度か訪ねて異なる表現に触れられる展示になっています。 コレクションには、水を主題にした日本と西洋の絵画、日本の版画、国内外の写真、木を素材とする彫刻、島根に関わる美術という柱があります。クールベ《波》やモネ《アヴァルの門》などを所蔵し、海や光の表現を考える手がかりになります。写真では奈良原一高、森山大道、塩谷定好、植田正治ら山陰ゆかりの作家を重視しています。2階のコレクション展は分野ごとに構成され、1階では企画展を開催しています。 屋外にも彫刻が点在し、湖岸の散歩とあわせて作品に近づけます。籔内佐斗司の《宍道湖うさぎ》は12羽のうさぎで跳躍の動きを表した作品です。澄川喜一の《風門》も水辺の景観を形づくる彫刻のひとつ。室内の絵画や写真を見たあと、空や湖を背景に立体作品を見ることで、展示室とは違った距離感で美術を楽しめます。 家族での来館には、開館日の10時から12時に設けられる「こどもといっしょの鑑賞優先時間」があります。0歳からの子どもと家族を対象に、コレクション展示室や企画展示室で、作品について話しながら鑑賞できる時間です。事前申し込みは不要ですが、展示室の閉室期間は対象外です。子どもが歩いて鑑賞する際は手をつなぐなど、作品と来館者の安全に配慮しながら親子で作品に向き合えます。 館内には授乳室があり、車椅子、杖、手押し車、ベビーカーの貸出も行っています。段差を抑えた構造を基本とし、階の移動にはエレベーターを利用できます。コレクション展では、スマートフォンなどで使える音声ガイド「ポケット学芸員」が鑑賞を補助します。館内図にはキッズライブラリーやアートライブラリー、展望テラスも掲載されており、展示を見る時間と休憩を組み合わせて過ごせます。 ミュージアムショップは観覧券なしでも利用でき、美術館オリジナルの商品やアートグッズを扱っています。食事には「湖畔のレストラン ラシヌ」があり、宍道湖や日本海の魚介、地元の野菜を用いたカジュアルフレンチを提供しています。カフェ、ランチ、ディナーの時間帯が設けられ、ディナーは完全予約制です。予約状況などで閉店時間が早まる場合もあるため、夕方の鑑賞と食事を合わせる場合は店舗の営業案内も確認できます。 所在地は松江市袖師町1-5。JR松江駅から徒歩約15分、市営バスでは南循環線内回りで「県立美術館前」まで約6分です。松江しんじ湖温泉駅からは観光ループバス「ぐるっと松江レイクライン」も利用できます。美術館駐車場から正面入口へは地下道で移動する案内になっています。正面ロータリー内には歩行が困難な人のための駐車スペースがあるため、一般の来館では通常の美術館駐車場を利用します。 開館は10時からで、閉館時刻は季節によって変わります。10月から2月は18時30分まで、3月から9月は宍道湖の夕日をゆっくり見られるよう日没の30分後まで開館します。展示室への入場締切はそれぞれ18時、日没時刻です。火曜日と年末年始を基本の休館日としますが、企画展の日程による変更があります。夕景も楽しみたい日は、天候に加え、その日の閉館時刻と展示の会期を確かめて訪れたい美術館です。
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